アンカー式空積工法と研究会について
アンカー式空積工法とは、河川護岸や道路擁壁として使用される構造体の一種で、自然石または擬石ブロックにストッパーパネルを装着したアンカー部材を固定した製品を、裏込材を充填しながら急勾配に積み上げる工法です。
前面の自然石または擬石ブロックとストッパーパネルとの間に充填した裏込材が支圧支持効果により一体化し、土圧の外力に対して練積みと同等の強度を持った構造体を構築します。
本工法のメリットは数多くあります。最近は石工のような職人が不足しており石積みをやりたくてもできずに諦めてしまうというお話をよく聞きますが、本工法は職人を必要とすることなく施工ができるため、この問題を解決することができます。また、コンクリートの使用量が大幅に減少することから、現場は養生管理から解放されるため、施工はスピーディーに進みます。そして、壁体を構成する素材はほとんどが自然石であるため、製品製造と施工時のCO2排出量も通常のコンクリートブロックによる施工と比較して最大89%も削減することができます。加えて、本工法による壁体は透水性が高い(水を通す)ことから、地中に張り巡らされた水脈を遮ることなく地域環境にやさしい状態で災害に強い構造体を構築することができます。この特性は、いま特に注目される「グリーンインフラ」の思想にも合致するものです。
本工法は20年以上にわたり全国各地で実績を積み高い評価を得てまいりましたが、更なる普及と、需要拡大、そして新たな可能性の探求と社会的価値の向上に努め、業界の「デファクトスタンダード」にまで育て上げることを目指し、2018年にアンカー式空積工法研究会を設立いたしました。土木・建築業界において、より多くの関係者の皆様にご利用いただくよう精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
アンカー式空積工法研究会
理事長 行本 哲
ラップストーン構造図
ラップブロック構造図